過去のトピックス
ご覧になりたい項目をクリックして下さい。
骨粗鬆症についてのCMで“いつのまにか骨折”という言葉が出てきます。いつのまにか脊椎(背骨や腰骨)の骨折がおこっていつのまにか治ってしまうといった意味合いに私はとれてしまいます。転倒やあまり重い物を持った記憶がないのに腰背部痛をおこし来院される患者さんがおられます。このような患者さんは骨粗鬆症の進んでいる人で脆弱性骨折(骨がもろく容易に骨折をおこしやすい状況)の可能性があります。
そのような患者さんこそ、治療をしなければまた次々と同じような骨折をおこす可能性が高いのでいつのまにか治ることより、次に同じことが起きなくなることが必要なのです。骨折をおこすと背中が曲がってきますが、それだけでなく日常生活が困難になったり、転倒して大腿骨骨折をおこして入院や手術が必要になることがあります。従って骨粗鬆症を軽く考えずに腰背部痛が続くようなら、是非診療を受けられることをお勧めします。
(1) 骨粗鬆症とはどんな病気で、なぜ治療が必要かということをお話させて頂きます。骨粗鬆症とは年齢を重ねると男性も女性も次第に骨がもろくなって、容易に骨折を起こしやすくなる病気です。女性の方が女性ホルモンが減少する閉経後になりやすくなります。今や100年時代といわれ、昔より長く生きられる時代がやってきています。癌や脳卒中、心筋梗塞や肺炎は命にかかわる病気ですが、骨粗鬆症はすぐには死に直面する病気ではありません。
しかし脳卒中後と同様に寝たきりで、介護を要する状況になる代表的な病気です。特に背骨(胸椎)や腰骨(腰椎)における圧迫骨折と転倒したときに起こりやすい大腿骨頸部骨折がその代表的な骨折です。大腿骨頸部骨折は転倒した時に大腿骨のつけ根に強い痛みが起こり、歩行ができなくなります。治療としては大部分の人は手術を受けなければなりません。
手術は骨折の部位によって異なっており、骨を金属で固定する骨接合術や人工の器具に変える人工骨頭置換術です。特に日本ではこの骨折に対する予防対策が不十分なため、欧米に比べて数倍多く起こっています。またせきついの圧迫骨折も1〜2部位の骨でつぶれ具合が軽度の骨折であればコルセットや薬で治療できます。しかし、多数の骨の骨折や、圧迫骨折のつぶれが大きく神経を圧迫すると動作や歩行ができなくなり、手術が必要となる場合があります。
以上のように重症にならないようにするためには、早期に骨粗鬆症の検査を受け、必要があれば治療を開始することです。
(2) 予防としては、(a)両下肢や体幹の筋力訓練などの転倒防止の運動、(b)適度の歩行、(c)十分なカルシウムや蛋白質の摂取です。骨粗鬆症と診断されれば、薬を服用して治療を開始します。骨粗鬆症の診断は骨密度の測定値から判断します。測定方法は(1)腰と股関節部にX線を用いて測定するDXA(デキサ)法、(2)前腕部のDXA(デキサ)法、(3)超音波でかかとを測定する方法。(4)尺度計を横において手のレントゲンをとるMD法等があります。一般的によく使われるのは(1)や(2)の方法です。測定値が若年者の70%をきると骨粗鬆症の治療を開始します。70%〜80%の人で飲酒やタバコを吸う人、またいぜんに骨折したことがある人は、危険因子があると考え治療を開始します。薬は最近では新しい薬が開発され、昔と比べて選択肢は多くなっています。症状や測定値、生活状況などを考えて、適切な薬を使用していくことが大切であると考えます。
(3) 骨の強さとは骨密度だけでなく、骨の質(骨質)も重要なポイントです。骨質とは最近話題になっている免震構造のダンパーのようなもので骨にかかるストレスをうまく散させてストレスが集中して骨折を起こさないようなしなやかで弾力性のある骨の構造を示すものです。これは骨密度と違って数値が出ていませんが重要なポイントです。現在骨の強度は骨密度70%、骨質30%で成り立っていると考えられています。骨質を良くする薬もあり、症状や検査により適切な薬を選ぶことが大切です。
骨粗鬆症の治療薬としては、飲み薬と注射薬があります。骨というのは、骨芽細胞という骨をつくる細胞と破骨細胞という骨をつぶす細胞とでできています。骨は古い部分を破骨細胞が壊して、その部分を骨芽細胞が骨を作るという新陳代謝を常に行っています。そのバランスが保たれていると健常な骨が維持されるという仕組みです。
骨粗鬆症とはそのバランスが崩れ(1)骨を作る骨芽細胞の働きが落ちて骨がもろくなるタイプと、(2)骨をつぶす破骨細胞の働きが強くなって骨がもろくなるタイプとに大別されます。(1)のタイプの人には骨芽細胞の働きが増える薬が有効で、(2)のタイプの人には破骨細胞の働きを落とす薬が有効と考えられます。
一般的には(P)製剤の方が骨密度を上げる効果が少し強いと言われています。これらの薬は長期間使用すると、まれに歯を抜く時などに顎骨壊死や、外傷もなく大腿骨に骨折が起きる非定型骨折をおこす危険性があり、症状や検査の結果から続けていくことが適切かどうか判断していくことが重要です。骨密度があまり低くない人や骨折がない人は飲み薬を選択します。飲み薬は、a,ビタミンD製剤、 b、ビスホスホネ―ト製剤、c、SERM製剤(女性ホルモン類似製剤)、d,ビタミンK製剤、などがあります。cは男性患者さんには使用できません。aは活性型ビタミンで骨形成を少し良くするうえ、筋肉にも働いて転倒予防の効果もあると言われています。副作用は血中カルシウムを上昇させることがあるので、時々検査で血中カルシウム値を計測します。bは破骨細胞の働きを抑えて骨を潰れにくくして、骨密度を上げる効果があります。ビタミンDに比べて骨密度上昇効果は強いです。週1回や月1回飲むだけでよい薬ですが、朝起床時すぐの空腹時に水でのみ、その後30分間は飲食せず、横になってはいけないという、少し慣れるまで飲みにくい薬です。種類は色々ありますが、この薬も長年服用すると、まれに顎骨壊死や大腿骨の非定型骨折を起こすことがあります。そのため服用中は、歯医者さんにかかって抜歯をする際には一時中断することが多いです。cは女性ホルモンに構造が似ている薬で、比較的飲みやすく、副作用も少なく、長期間飲めます。bと同様の効果ですが、少し骨密度を上げる効果は弱いです。dは骨質を改善するといわれており、納豆などに多く含まれているビタミンKの薬です。骨密度を上げる力は弱いですが、他の薬が副作用で飲めなく、比較的骨密度が低くない患者さんに適応があると考えます。
以上の薬の良い点や不十分な点など、また症状や骨折の有無や数、骨密度の値、年齢や体型、生活様式などを考慮して、薬を選択することが重要です。また使用中も診察や検査を行い、その結果によって薬を変えていくことも重要です。若いうちに検査をうけて、早期から治療を開始し、重症の骨粗鬆症で寝たきりにならない様に気をつけることが、健康年齢を上げて楽しい生活が長くできるために、大切なことと考えます。
*薬の商品名はアルファベットの頭文字にて表示させて頂きました
今回は手首(手関節)の痛みについてお話しします。手関節は前腕の親指側にある橈骨と言う骨と小指側にある尺骨と言う大きな骨と、手の親指側から舟状骨、月状骨、三角骨などの手根骨と言う小さな骨からできた関節です。その周囲には手の指につながる神経や血管、指を動かす腱などがあり、複雑な構造となっています。手関節に痛みのある疾患についてお話しするには、痛みのある部位に分けると判りやすくなります。親指側(橈側)に痛みのある(1)ドゥケルバン腱鞘炎、(2)舟状骨骨折、中央に原因があり、手のしびれが主となる(3)手根管症候群、最後に小指側(尺側)に痛みのある(4)三角線維軟骨複合帯(TFCC)損傷についてお話しします。

(1)ドゥケルバン腱鞘炎(狭窄性腱鞘炎) 右手関節の橈測の骨の突出した上の親指側にある(1)短拇指伸筋腱と(2)長拇指外転筋腱と言う2本の腱が腱鞘と言うトンネルの中を通っています。パソコンなどのよく指を使う人や、産後の授乳期、更年期の女性に起こることが多いです。親指の使い過ぎによる腱鞘の炎症ため腱が厚くなったり、腱が傷んだりしてトンネルの中を腱がスムーズに動かなくなり、腫れや痛みが起こります。治療としては、まず親指の安静や湿布、レーザー治療などです。痛みが強く長く続く時には、ステロイドの注射をしたり、装具をあてて固定します。それでもよくならない時は手術を行います。手術はトンネルである腱鞘を切開して開き、腱がスムーズに動くようにするためです。
(2)舟状骨骨折 親指側にある舟型をした小さな骨で、転んだ時に手関節をそらした状態で手をつくと起きることが多いです。橈骨の骨折に比べて痛みや腫れが少なく、一般的には骨折と思わずがまんしていることが多いです。また医者に行ってもレントゲンでは判りにくく、MRIを撮って初めて判る人が多いです。まずは手をついて親指側に痛みがあれば、早くに整形外科に行って診察をうけた方がよいと思います。舟状骨骨折は骨折の部位により治りにくいことがあり、手術になることも多いです。また受傷後長く時間が経っていると、ますます骨折が治りにくく、偽関節と言う状態になっています。そうなると必ず手術が必要です。以上のように、痛みや腫れは強くありませんが、治りにくく手術も必要となるかもしれない骨折ですので注意が必要です。
(3)手根管症候群 手のしびれをきたす、よく見る疾患である。手のしびれの原因で最も多いのは、頚椎椎間板ヘルニアなどの頚椎の病気ですが、次に多いのはこの病気で、よく手を使う女性に多く、親指から薬指の外側で手のひら側のしびれが特徴的です。症状が強くなると夜間にしびれを伴う痛みが起こったり、親指と小指で物をはさむ動作が困難になります。その症状が長く続くと、親指の付け根(母指球)がやせてきて、さらに細かい作業が困難になります。診断はしびれや感覚異常の部位、手首を曲げてしびれが強くなるかどうかをみるファ―レンテストなどです。症状の強い人は神経伝達速度という神経の流れの良し悪しをみる検査をします。治療としては、症状の軽い人は、手の使用をひかえるや手首を下に曲げる作業をしないなどの指導や、装具を装着したり、ビタミンB12の薬を服用して頂きます。症状の強い人は手術になりますが、近年手術の進歩により内視鏡を用いた小さな切開で早くに仕事に復帰できるようになりました。
(4)三角線維軟骨複合損傷(TFCC損傷) この疾患は昔Palmmと言う人が「手関節の腰痛」と呼んだ様に最近まで明らかな病態が判りませんでした。近年、橈骨と尺骨、尺骨と月状骨や三角骨をつないでいる軟骨と靭帯の構造が明らかになり、その診断や治療が進歩しています。この疾患はサッカーやバスケット中の転倒にて手をついたり、体操やチアリーディングで手関節を捻じっておこる外傷性のものと、テニスやゴルフ、野球のスイング、剣道など反復して手関節を捻じっておこるストレス性のものがあります。症状はドアノブを廻したり、タオルをしぼったり、ペットボトルの蓋をあけたりする時に尺側に痛みが起こります。レントゲンでは診断できないので、MRIを行いTFCC損傷の疑いが強いときには、関節に造影剤を注入してCTなどを行う関節造影という検査を行います。治療は外傷性の場合には、約3週間ほどギプスシーネなどで固定して、その後サポーターなどの装具をします。その他の場合には最初から装具を使用することが多いです。3−6か月治療してもよくならない場合には手の外科の専門医による関節鏡を使った靭帯の修復などの手術を行います。
肩とは、一般的に肩凝りから思い浮かべる様に、首の付け根から整形外科で言う肩関節までの部位を想像されると思います。今回は肩関節を中心とした周辺の痛みを起こす病気についてお話します。
肩の構造の中で肩関節は、鎖骨、肩甲骨と上腕骨の3つの骨でできています。主に肩甲骨と上腕骨の間で動きます。その関節を動かす力は、腱板と呼ばれている4つの筋肉の腱(棘上筋,棘下筋、肩甲下筋、小円筋)とその周囲にある三角筋や上腕二頭筋などの筋肉です。下記に図を示します。

(1)ドゥケルバン腱鞘炎(狭窄性腱鞘炎) 右手関節の橈測の骨の突出した上の親指側にある(1)短拇指伸筋腱と(2)長拇指外転筋腱と言う2本の腱が腱鞘と言うトンネルの中を通っています。パソコンなどのよく指を使う人や、産後の授乳期、更年期の女性に起こることが多いです。親指の使い過ぎによる腱鞘の炎症ため腱が厚くなったり、腱が傷んだりしてトンネルの中を腱がスムーズに動かなくなり、腫れや痛みが起こります。治療としては、まず親指の安静や湿布、レーザー治療などです。痛みが強く長く続く時には、ステロイドの注射をしたり、装具をあてて固定します。それでもよくならない時は手術を行います。手術はトンネルである腱鞘を切開して開き、腱がスムーズに動くようにするためです。
(2)舟状骨骨折 親指側にある舟型をした小さな骨で、転んだ時に手関節をそらした状態で手をつくと起きることが多いです。橈骨の骨折に比べて痛みや腫れが少なく、一般的には骨折と思わずがまんしていることが多いです。また医者に行ってもレントゲンでは判りにくく、MRIを撮って初めて判る人が多いです。まずは手をついて親指側に痛みがあれば、早くに整形外科に行って診察をうけた方がよいと思います。舟状骨骨折は骨折の部位により治りにくいことがあり、手術になることも多いです。また受傷後長く時間が経っていると、ますます骨折が治りにくく、偽関節と言う状態になっています。そうなると必ず手術が必要です。以上のように、痛みや腫れは強くありませんが、治りにくく手術も必要となるかもしれない骨折ですので注意が必要です。
(3)手根管症候群 手のしびれをきたす、よく見る疾患である。手のしびれの原因で最も多いのは、頚椎椎間板ヘルニアなどの頚椎の病気ですが、次に多いのはこの病気で、よく手を使う女性に多く、親指から薬指の外側で手のひら側のしびれが特徴的です。症状が強くなると夜間にしびれを伴う痛みが起こったり、親指と小指で物をはさむ動作が困難になります。その症状が長く続くと、親指の付け根(母指球)がやせてきて、さらに細かい作業が困難になります。診断はしびれや感覚異常の部位、手首を曲げてしびれが強くなるかどうかをみるファ―レンテストなどです。症状の強い人は神経伝達速度という神経の流れの良し悪しをみる検査をします。治療としては、症状の軽い人は、手の使用をひかえるや手首を下に曲げる作業をしないなどの指導や、装具を装着したり、ビタミンB12の薬を服用して頂きます。症状の強い人は手術になりますが、近年手術の進歩により内視鏡を用いた小さな切開で早くに仕事に復帰できるようになりました。
(4)三角線維軟骨複合損傷(TFCC損傷) この疾患は昔Palmmと言う人が「手関節の腰痛」と呼んだ様に最近まで明らかな病態が判りませんでした。近年、橈骨と尺骨、尺骨と月状骨や三角骨をつないでいる軟骨と靭帯の構造が明らかになり、その診断や治療が進歩しています。この疾患はサッカーやバスケット中の転倒にて手をついたり、体操やチアリーディングで手関節を捻じっておこる外傷性のものと、テニスやゴルフ、野球のスイング、剣道など反復して手関節を捻じっておこるストレス性のものがあります。症状はドアノブを廻したり、タオルをしぼったり、ペットボトルの蓋をあけたりする時に尺側に痛みが起こります。レントゲンでは診断できないので、MRIを行いTFCC損傷の疑いが強いときには、関節に造影剤を注入してCTなどを行う関節造影という検査を行います。治療は外傷性の場合には、約3週間ほどギプスシーネなどで固定して、その後サポーターなどの装具をします。その他の場合には最初から装具を使用することが多いです。3−6か月治療してもよくならない場合には手の外科の専門医による関節鏡を使った靭帯の修復などの手術を行います。
肘は肩と違って幼少期からトラブルの多い関節です。肘は下記の図の如く、上腕骨、橈骨、尺骨の3つの骨と関節を安定化させる靭帯、その周囲に筋肉や腱が覆い、関節を動かします。
幼少期には3つの骨は十分に成長しておらず、骨の端の部分は成長軟骨でできています。そのため転倒して手をつくと容易に骨折が起こることがあります。

まずは幼少期に起こりやすい病気からお話します。
(1)肘内障
1−4歳にかけて多くみられ、急に肩から手まで動かさず、肩がはずれたと言って御両親が子供さんを連れて来られます。よく聞くと、痛がる直前に手を引っ張ったことが多いです。 他の病気の場合もありますので、診察し、上記の状態と診断すれば、整復術を行います。これは、橈骨の頭の部分が靭帯から少し脱けた状態であるので、元に戻します(肘内障の徒手整復)。数分すると肩から肘、手を動かすのを確認します。
(2)上腕骨顆上骨折
4−7歳に多く、転倒して手をついた際によく起こる骨折です。痛みは非常に強く、時々指がしびれたり、動かしにくいと言う症状がでます。骨折のずれの状態(転位)によって、治療は変わります。 転位が少しの場合はできるだけレントゲンを見ながら転位を治して(整復)その後ギブスシャーレにて固定します。転位が強い場合は、手術になります。
(3)上腕骨外側骨折
5−7歳で、やはり転倒して手を突いたり、強く肘を捻じったりして、肘に痛みを起こします。先ほどの顆上骨折よりは痛みは軽く、腫れも少なく、肘の外側に痛みが強いです。 この骨折は、なかなか診断が難しく、そのため治りが悪いです。レントゲンで判り難い場合は、CTを撮ります。転位が認められれば、手術をします。
(4)成長期野球肘(上腕骨内側上顆炎)
成長期で野球をしている子供に多くみられ、最近では、早期に発見するため、野球少年を集めて、集団検診を行っています。また、年代にあわせて、投球回数を制限しています。 肘の内側を痛がり、ふり被って投げる時に、痛みが強くなります。症状が軽い時には、投球をやめ、安静にします。症状が強い時には、成長軟骨損傷や剥離骨折の場合があり、さらに長い期間の投球の禁止や投球フォームの矯正が必要です。
(5)離断性骨軟骨炎
野球肘の状態で我慢して投球を続けていると、肘の内側の痛みだけでなく、外側にも痛みを起こします。これは、上腕骨小頭(外側)の軟骨障害です。 診断は、レントゲンを行い、どの程度悪いかを診断します。症状が軽い場合は、安静の後、フォームの修正などです。症状が重い場合は、手術が必要です。
次に20歳以後に起こる肘の病気についてお話します。
(6)上腕骨内側上顆炎
大人においては、一般的に野球肘とゴルフ肘などがあり、通常は小児と同様、肘の内側に痛みがあり、安静や痛み止めで普通良くなります。 しかし、大リーグに行った野球の大谷翔平選手の様にプロなどで活躍するピッチャーでは、もっと重症で肘の内側靭帯損傷になると手術が必要になります。
(7)肘部管症候群
この病気の症状は、主に手の小指のしびれであり、肘の強い痛みはほとんどありません。これは、小指に行く尺骨神経が肘の内後側を通っており、その神経が圧迫されることにより、起こります。 その原因として多いのは、変形性関節症による骨の突出(骨棘)や、ガングリオンなどの腫瘤による圧迫です。診断としては、神経の伝達速度を測る検査が重要です。症状が進行すると、指と指の間のインナーマッスルである骨間筋が萎縮し、指の動きが悪くなります。その前に手術をすることが多いです。

(1)頸椎椎間板ヘルニア
明らかな原因があることは少なく、頚から肩甲部にかけての痛みやしびれ、さらには手の方にまで、しびれや痛み、脱力感、もっとひどくなると手がうまく使えないという状態になります。 これは出っ張ったヘルニアが、手に行く神経を圧迫した症状です。さらに強く出っ張って脊髄を圧迫すると、足がしびれたり、歩きにくくなったり、尿がうまく出なくなります。症状が強い時にはMRIを撮り、重症度を診ます。軽症の時には、症状に応じて痛み止めの薬や、リハビリ、注射などで治療します。重症の時には、手術を選択することがあります。
(2)変形性頸椎症
これは年齢をかさねると、椎間板が老化して症状が出ます。症状は椎間板ヘルニアと似ていますが、レントゲンで椎間板が潰れてきたり、骨の端に骨棘という骨の出っ張りを認め、悪くなってきた場所が判断できます。ヘルニアと同様、症状が強い時には、MRIを撮り、治療もほぼ同じです。
(3)斜頚
症状は頚が傾き、さらに回旋し、正面を向けなく、無理に反対に向けようとすると強い痛みを起こします。生まれつきの場合は、先天性筋性斜頚といい、症状が改善しない時には、手術をします。 幼少期に起こるのは、環軸関節回旋位固定といい、マット運動などで首を捻じったり、風邪などの上気道炎などが多いです。痛みが強い時には、痛み止めや首の安静のため、カラーで固定します。1週間で改善しない時は、CTを撮って、異常が強い場合には、入院して24時間続けて引っ張る(持続牽引)にて治療します。
(4)頸椎後縦靭帯骨化症
椎体と脊髄の間に脊椎を安定化させる後縦靭帯という靭帯があります。その靭帯が原因不明で骨の様に硬くなり、レントゲンでも判り、大きくなると神経を圧迫し、(1)や(2)と同じ様な症状が出ます。日本では、男性の方が多いと言われています。治療も(1)や(2)とほぼ同じです。
(5)胸郭出口症候群
20−30歳のなで肩の女性に多いと言われています。症状は手の痛みやしびれ、肩凝り、首から肩甲部にかけての痛みや、時々吐き気やめまい、体のだるさなどです。 これは首から手に行く神経と血管がいろいろな原因で圧迫されるためです。治療は姿勢を良くするように気をつける、首から肩にかけてのストレッチ、痛み止め、注射などで治療をします。症状のひどい場合には、圧迫の原因により手術をします。

膝はスポーツや外傷により、よく傷めやすい関節で、また年齢がいくと痛みが出やすく、歩行や階段昇降、立ち座りなどの動作が次第に困難になってきます。膝の構造を上図に示します。膝は大腿骨、脛骨と膝蓋骨という3つの大きな骨と、その骨の表面を覆っている関節軟骨、その間にある内側半月板及び外側半月板という軟骨、そして前後にずれないように支持している前十字靭帯と後十字靭帯、左右にぶれないように支えている内側及び外側側副靭帯、さらに膝蓋骨の下から脛骨粗面について、膝蓋骨を安定化している膝蓋靭帯でできています。その周囲が滑膜と関節包で覆われた関節です。“よく膝に水がたまる”というのは、その関節包の中に関節液が増えた状態を言います。
まずは2−15歳頃にかけて、多い病気についてお話します。
(1)オスグッド・シュラッター病
一般的には成長痛と言われ、男性で運動している子供に多く、軽症の場合は、放置されていても治っていることが多いです。メカニズムは、膝を伸ばす大腿四頭筋という筋肉の伸び縮みが悪いため、膝蓋骨から膝蓋靭帯に負担がかかり、膝蓋骨の正中やや下方の靭帯の付着部である脛骨粗面に成長軟骨をはがす力になって起こります。 そのため、脛骨粗面が腫れて、押えると痛い、膝を曲げると痛いという症状が起きます。治療としては、基本的には大腿四頭筋のストレッチによる膝の屈伸運動です。中等度以上の場合には、サポーターや運動の禁止など指導します。
(2)分裂膝蓋骨
大人でもありますが、少年期に時々診る病気です。膝蓋骨は大人では1つの骨ですが、少年期には、大小2つの骨化中心があり、普通は成長とともにうまく癒合して、1つの骨になります。時々、癒合がうまくいかず、膝蓋骨の上外側に小さな骨片があり、その部位に圧痛があり、ジャンプやランニングなどのスポーツ時に痛みが起きます。一般的には、一時的にスポーツを制限し、ストレッチや大腿四頭筋の筋力訓練、痛み止めにて症状はよくなります。
(3)膝蓋骨軟化症
特に明らかな原因がなく、階段の昇降や、しゃがんで立ち上がる時に、膝蓋骨の周辺に痛みを起こします。時々、きしんだ様な音がすることもあります。レントゲンでは診断が困難であり、MRIにて診断します。スポーツの制限やストレッチ、痛み止めやサポーターなどにて症状が改善無ければ、手術も考えます。
(4)骨腫瘍
この病気も時々診ます。ほとんどは良性の腫瘍が多いですが、注意が必要なのは、悪性腫瘍である骨肉腫です。これは、成長軟骨に接する骨にできやすく、特に10−15歳の男児に多いです。他は、良性の腫瘍が多く、経過観察だけでいいものや、骨折を起こしやすいものもあり、整形外科で診察をうけた方がいいと思います。
(5)その他
3−10歳頃は、股関節の病気でも膝が痛いと訴えることがあるので、膝以外の病気にも注意が必要です。股関節の病気としては、治りやすい単純性股関節炎、治り難いぺルテス病という、大腿骨骨頭壊死の病気などです。X脚の強い外反膝や、膝が過伸展する反張膝でも、しばしばスポーツなどで痛みを起こすので、病気ではないですが、成長期には注意が必要です。特に外反膝が強かったり、膝蓋骨が高いと、膝蓋骨の亜脱臼を起こすことがあります。
次に16−60歳にかけて多い病気をお話します。
(6)膝関節炎
特に思い当たる外傷がなく、膝の痛みや腫れを起こします。多くは、正座や運動のし過ぎ、体重増加による負担のため起こる関節炎です。他に病気としては、男性では痛風、女性では慢性関節リウマチが多いです。
(7)半月板損傷
事故やスポーツなどによって起こることが多いですが、中高年になってくると、慢性的な負担によって半月板が少しずつ傷んできて、ついに損傷を起こします。半月板損傷の診断はレントゲンでは無理で、MRIにて診断します。大きな損傷でない場合は、ストレッチや筋トレなどのリハビリやサポーターの装着、痛みの強い時は痛み止めなどで治療します。 痛みが続いて、日常生活や必要なスポーツが困難な時には、内視鏡を用いた手術をします。損傷の部位や程度によって手術方法が異なりますが、一部半月板を切除する場合と、損傷部を関節包と縫合する場合があり、後者では、術後もギプス固定やサポーター、リハビリが必要です。半月板損傷は、普通内側に多いですが、しばしば日本人では、外側半月板が大きい円板状半月板という病気があり、大きいため挟まり易く、損傷しやすいです。この場合は、膝の外側に痛みがあり、治療は内側半月板と同様です。
(8)膝靭帯損傷
4つの大きな靭帯があり、その靭帯により、膝の動きが安定しています。単独損傷では、内側側副靭帯損傷が、頻度が高いです。この場合は、ギプス固定やサポーターの装着、その後リハビリを行います。 前十字靭帯損傷は、スケートの高橋大輔選手で有名になりましたが、ジャンプして着地したときや、体を急に捻じった時に起きやすいです。完全に切れている場合は、内視鏡を使って、自分の腱の一部を利用して新しく靭帯を作る靭帯再建術という手術をします。 後十字靭帯もほぼ同様ですが、ギプス固定やサポーター、リハビリなどの保存的治療を行うことが多く、前十字靭帯の手術ほど一般的ではありません。
(9)離断性骨軟骨炎
10−20歳の男性でスポーツ選手に多く、最初は、運動時の膝関節痛や脱力感ですが、進行すると痛みが持続し、水がたまり、引っかかりを感じます。レントゲン上、初期には大腿骨の内顆やや正中部に近い部位に一部黒く見える骨透亮像を認め、進行するとその中央部に白い部分、骨硬化像を認めます。レントゲンで異常を認めれば、MRIを行い、そのStageを判断し、治療を行います。早期の場合、成長終了前であると、運動の禁止や制限、サポーターやリハビリを行います。進行例や症状が改善しない場合は、手術を行います。
(10)ジャンパー膝
ジョギングやジャンプ、キック、急激なストップ動作を繰り返すスポーツ、特に10−20歳のバレーボールやバスケット、サッカー、陸上や野球などの選手にみられます。最初は膝蓋骨周辺の痛みであり、運動後に痛みが増強します。進行すると、運動中にも痛みをきたし、無理をするとまれに膝蓋腱が切れる重症例になります。診断は、症状とMRIです。軽症の場合は、運動の制限、大腿四頭筋のストレッチや筋力訓練、運動前の十分なwarming up、運動後のアイシングなどです。
(11)棚障害
繰り返し動作時に膝の痛みを起こし、水がたまり、膝蓋骨の内下の部位に圧痛があります。診断はMRIでも判り難いことが多く、症状が続けば、内視鏡による手術を行います。手術は比較的容易であり、術後の固定も行いません。
(12)腸脛靭帯炎
スポーツ選手に多く、走ると痛みが膝の外側に起こり、圧痛は膝蓋骨の中心から、外側に90度の所にあります。一般的には、(10)と同様に行います。
次に61歳以上に多い変形性膝関節症と、その経過中に急に痛みが強くなる、偽痛風と特発性骨壊死についてお話します。
(13)変形性膝関節症
一般的には女性に多く、初期の症状は、正座やしゃがみこみ時の膝の痛みや引っかかりです。次には階段の降りる時や重いものを長く持って歩いた時です。次に階段を上る時や、長距離の歩行でも痛みが起こってきます。さらに進むと、椅子からの立ち上がりや自転車の乗り降りでも痛みが起きます。最終的には、膝が曲がらず、少しの歩行でも痛く、夜間安静時や椅子に座っていても痛みがあります。 症状が進まないようにするためには、(1)体重の減少、(2)大腿四頭筋の筋力増強訓練、(3)過度のスポーツの禁止、(4)痛みの強い時にはサポーターを装着する、なでです。 レントゲンでは、大腿骨と脛骨のスペースの狭小化、骨の端に骨蕀の形成、関節面の不整化などがあり、進行すれば、以上の変化が明らかになってきます。 治療は、体重の減少、大腿四頭筋訓練などのリハビリ、痛み止めの服用、ヒアルロン酸の関節内注射、痛みが強い時には、ステロイドの関節内注射などを行います。症状が次第に進行して日常生活に支障が強くなった場合には、手術になります。60歳までの人には、骨切り術を行うことがありますが、一般的には、人工関節置換術を行います。
(14)偽痛風
急に膝の腫れと痛みが強くなり、そのため歩行困難になり、体温も38度を越えることがあります。レントゲンで半月板にカルシウムが沈着していることが多いです。また関節液の検査でピロリン酸カルシウムが検出されます。治療はステロイドの関節内注射や痛み止めの服用です。
(15)特発性骨壊死
変形性膝関節症の経過中、急に痛みが強くなることがあり、レントゲンでは、大腿骨内顆に骨吸収像を認めます。痛みが強い場合は、MRIを撮ってその程度と範囲を確認します。治療は、痛みが強い間は、できるだけ安静にし、サポーターを装着し、痛み止めの服用などです。症状が改善すれば、治療は(13)に準じます。

新生児期、幼少期から学童期、中高年と年代別に病気があるので、それぞれについてお話します。膝はスポーツや外傷により、よく傷めやすい関節で、また年齢がいくと痛みが出やすく、歩行や階段昇降、立ち座りなどの動作が次第に困難になってきます。
まずは新生児期からお話します。
(1)先天性股関節脱臼
生後、定期健診で診察され、診断されます。また抱き方や巻きおむつなど股関節を開げない姿勢でいると、発育時に脱臼することがあります。放置しておくと将来、大腿骨骨頭壊死症や変形性股関節症などの病気に進行するため、早期から治療が必要です。普通は装具をつける治療で治ることが多いですが、治りにくい場合は入院して足を引っ張る持続牽引をします。それでも治らない場合は、手術を選択します。
(2)単純性股関節炎
6歳から7歳に多く、必ずしもスポーツをしなくても急に股関節や膝に痛みを起こし、痛みで足を引きずる跛行の状態になります。原因は明らかではありませんが、治療としてはまずは安静と痛み止めで約2週間ほどで軽快します。この時重要なのは、次にお話しするぺルテス病と最初は診断困難なことです。
(3)ぺルテス病
3歳から12歳、特に6歳から7歳の男児に多い病気です。これは幼児から小児期に成長する際の血行障害による病気です。大腿骨の骨頭に行く血流が少なくなり、そのため骨頭壊死が起こり、骨頭が潰れてくる病気です。症状は(2)と似ているため、早期の診断は困難で、レントゲンよりもMRIの方が可能です。この病気の治療は、なかなか困難であり、長期の治療が必要です。普通は、専門医のいる病院に入院し、必要があれば手術をします。
(4)大腿骨頭すべり症
この病気は比較的少ないですが、10歳から16歳までの、成長軟骨である骨端線が閉じていないやや太り気味の男児に多いです。やはり股関節の痛みと運動時痛,跛行が症状です。レントゲンで中等度以上の場合は、診断可能であり、手術になることが多いです。軽症の場合は、MRIで診断し、安静などにて注意深く治療していきます。
(5)股関節臼蓋形成不全
いろいろな原因により腸骨の形成不全によって、大腿骨骨頭の被覆(かぶり)が不十分なため、思春期以後、スポーツや長距離歩行などの後に股関節が痛むという症状が起きます。レントゲンで軽症か重症かの判断をします。軽症の場合は、体重の減少や軽いスポーツへの転向や、筋力訓練などを指導します。重症の場合は、早くに変形性股関節症になるため、手術を選択することがあります。しかし、手術は長期の入院が必要であり、また社会復帰までも長くかかるため、実際には、困難な場合が多いです。
(6)大腿骨骨頭壊死症
原因の判らない、特発性の大腿骨骨頭壊死症と外傷後に起こる症候性の大腿骨骨頭壊死症があります。ここでは、特発性の壊死症についてお話します。原因としてよく言われるのは、多量のステロイドの服用と多量の飲酒です。治療は軽症の場合は、(5)に準じ、レントゲンやMRIで注意深く診察していきます。重症で日常生活が送れない場合には、手術をおこないます。若い人には、骨切り術を選択することが多いです。これも(5)と同様に社会復帰まで長くかかります。高齢者は、人工関節置換術が選択されることが多く、術後早期から歩行やリハビリが可能です。
(7)変形性股関節症
女性に多く、これも(6)と同様に原因不明の一次性のものと、先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全などによる二次性のものがあります。日本では二次性の変形性股関節症が多いです。レントゲンにて進行度を診断します。Stageの進んでいない場合は、(5)に準じて、注意深く追試していきます。Stageが進み、歩行時痛が強くなると手術を選択します。手術は、(6)と同様で、若い人には骨切り術を、高齢者には人工関節置換術を行います。
足関節は、下図の如く、距骨が、内くるぶし(脛骨内顆)と外くるぶし(腓骨外顆)にはさまれた関節です。内外に丈夫な靭帯に補強され、その周囲にアキレス腱などの多くの腱や神経、血管が通っている関節です。 足関節は、下図の如く、距骨が、内くるぶし(脛骨内顆)と外くるぶし(腓骨外顆)にはさまれた関節です。内外に丈夫な靭帯に補強され、その周囲にアキレス腱などの多くの腱や神経、血管が通っている関節です。

また足も多くの骨や靭帯、腱などで構成されており、大切なのはそれらの骨の並び、いわゆる縦アーチ2本と横アーチ1本の状態が重要です。縦アーチが扁平化すると扁平足と呼ばれ、長距離歩行などで痛みが起こりやすくなります。また靴は非常に大切です。合わない靴や長くヒール靴をはくと、外反母趾や疲労骨折などが起こりやすくなります。
まずは、外傷による疾患からお話します。
(1)足関節捻挫と靭帯損傷
スポーツやちょっとした段差で足を捻じると起こる、日常よく見る疾患です。一般的には、捻挫と言われますが、強い外傷のため、靭帯が傷ついたり、切れたりすることがあります。それが靭帯損傷です。ほとんどは、内がえしによる外側靭帯損傷です。症状が軽い時は、テーピングや装具などを装着し、症状が改善すれば、早くから動かしていくようしています。中等度で、腫れや痛みの強い場合は、最初ギプス固定を行い、症状が改善してから、装具やテーピングにて治療します。重症で痛みが続き、不安定さが残った場合には、手術を行います。
(2)足関節顆部骨折
(1)よりも強い力が加わると、くるぶしに骨折を起こします。腫れや痛みも(1)より強く、レントゲンにて診断します。レントゲンで判り難い、不顕性骨折という軽症のものから、両くるぶしの骨折と靭帯損傷を合併して起こる脱臼骨折という重症のものまであります。軽症の場合にはギプス固定の後、装具に変えてリハビリを行います。骨折が明らかで、転位がある場合には、手術を行います。
(3)踵骨骨折
アキレス腱が付いている踵の骨の骨折です。踵骨は複雑な形をしており、骨の内部は海綿骨という柔らかい骨でできているため、骨折が起きやすく、また複雑に骨折し、転位することが多い骨折です。多くは高い所から落ちて踵をついた時におこります。軽症の場合には、装具を装着し、レントゲンで追試しながら、治療します。 転位のある重症の場合は手術を行います。
(4)第5中足骨基底部骨折
これは、第5中足骨の根元の部分の骨折で、下図の如くです。前者の結節部骨折は、よく下駄ばき骨折と言われ、正座してしびれた状態で立った時に足を捻じって起こることがあります。この骨折の場合は、転位が大きくない限り、ギプス固定の後に装具を装着し、レントゲンで注意深く追試していきます。後者のJones骨折はスポーツによる疲労骨折が多く、ギプスでは治り難いため、手術をすることが多いです。

(5)シンスプリント(過労性脛部痛)
思春期のスポーツ選手に多く、運動時や運動後に下腿の内側の痛みが起こり、次第にひどくなると、歩行時にも痛みを感ずるようになります。原因は、過激な運動や下腿の筋肉のストレッチ不足、あわない靴の使用などが考えられています。治療は、スポーツ活動の制限や運動後のアイシング、痛み止め、下腿筋のストレッチや筋力訓練や、足にあった(foot fetting)靴の装着などです。
(6) アキレス腱周囲炎
アキレス腱は体重の8倍の力がかかる腱であり、過激なスポーツにより、アキレス腱周囲に急性炎症が起こります。その治療は、急性期にはスポーツの中止、アイシング、痛み止めなどです。慢性期には、下腿三頭筋のストレッチ、マッサージなどです。中高年期で起こるアキレス腱周囲炎は、アキレス腱自体の変性による慢性アキレス腱炎、腱周囲の炎症であり、治療としては、ストレッチやマッサージなどです。重要なのは、足にあった(foot fetting)靴の正しい装着です。
(7)アキレス腱断裂
30歳から40歳のスポーツをしている人に多く、急に走りだしたり、方向を変えたりした時に起こりやすく、これはアキレス腱自体の変性によると考えられています。断裂すると片足でつま先立ちができなくなります。治療は、ギプス固定を長期間おこなう保存的治療と、手術治療があります。治療後に起こる再断裂は保存的治療で約12−20%、手術治療で2−5%と報告されています。
(8)有痛性外脛骨
10歳から15歳の女児に多く、捻挫を契機に足の内側に痛みを起こすことが多いです。レントゲンでは、舟状骨の内側に小さな骨片が認められます。骨片が認められても、症状のない場合が多いですが、外反母趾や扁平足を合併していることがあります。治療は急性期には安静ですが、慢性期には、足趾のストレッチや筋力トレーニング、装具の装着などです。
(9)成人期扁平足
足の縦アーチが低下した状態で、原因はいろいろあります。症状は長距離歩行時の痛みであり、片足でつま先立ちはできにくくなります。治療は、体重の減少、足趾の筋力訓練、装具の装着や合った靴の正しい装着などです。
(10)足底腱膜炎(踵骨棘)
歩行時や朝起床時の1歩目に足底部から踵部に痛みが起こります。レントゲンでは、しばしば踵骨に骨の出っ張り(踵骨棘)を認めます。治療は、痛み止め、足趾のストレッチ、装具の装着などです。症状が改善しない場合は、尿管結石を壊すのと同様の体外衝撃波を行います。それでも症状が改善しない場合は手術を選択します。最近は、内視鏡による手術が行われていることが多いです。
(11)外反母趾
足にあわない靴やヒール靴を長く履く人に多く起こります。ひどくなると、外反した母趾が第2趾の下に入り込んで、第2趾が脱臼し、痛みがさらにひどくなります。軽症の場合は足趾を拡げる外転筋力訓練、装具の装着やあった靴を履くように指導します。重症の場合は、手術になります。手術の方法はたくさんありますが、簡単な手術では再発することが多く、根本的に治す手術がお勧めですが、治療期間が長いという問題があります。
(12)痛風性関節炎
尿酸値が高い男性に多く、特に母趾のつけ根であるMTP関節に起こりやすいです。発作時にはMTP関節の発赤、腫脹,熱感がみられ、安静時痛も強く、発作時には尿酸値が逆に下がることがあり、注意を要する場合があります。発作時には、痛み止めや時にはステロイドを使用することがあります。その後、尿酸値を下げる薬を服用します。
(13)足根管症候群
足関節の内側を通る脛骨神経が、いろいろな原因、特に外傷後の骨片、ガングリオンなどの腫瘤や足の変形などによって、圧迫されて起こる病気です。足底部から趾にかけてのしびれや痛みを運動時や階段昇降時などに感じ、足関節の内側を押えると痛みが起こります。治療は痛み止めや装具の装着、痛みのひどい場合は、局所麻酔剤とステロイドの注射を行います。
(14)Morton病
ハイヒール靴やあわない靴をはく女性に多いです。症状は歩くと、足趾に痛みやしびれを起こし、第3趾と第4趾の間に多く、足底の第3趾と第4趾のMTP関節の間を押えると痛みを起こします。治療は、あった靴をはく、パッドをつける、痛み止めなどです。
腰の構造も首とほぼ同じで、椎体という骨と椎間板という軟骨が交互に並び、その後ろに神経の幹が通っています。椎間板の高位で、その神経の幹から枝が分かれて足の方に行きます。構造を下図に示します。

(1)急性腰痛症(ぎっくり腰)
急に腰痛が起こり、しばしば魔女の一撃と言われる様な、強い痛みが起こることを言います。原因は様々であり、まずは診断が重要です。その病気に応じて、治療を行います。治療は、2−3日は安静にし、その後、腰を徐々に動かしていきます。
(2)腰椎椎間板ヘルニア腰痛だけでなく、足に痛みやしびれが起き、重症の時には、足の脱力感や筋力の低下も起きます。レントゲンでは診断できないので、MRIが必要です。症状とMRIで重症度を判定し、安静や腰部固定帯、痛み止め、牽引などの物理療法や運動療法、神経ブロックなどにて治療します。症状が改善しなかったり、筋力がさらに低下する時は、手術を選択します。ヘルニアの中でも脱出ヘルニア(下図)という状態があり、それは後縦靭帯を破って出てきたヘルニアです。痛みの強いことが多いですが、出たヘルニアは血行が悪いため、次第に小さくなることが、MRIなどで判っています。そのため、症状が悪化せず、しびれも強くなく、日常生活がなんとか送れる場合は手術せずに注意深く診察しながら治療します。

これも首とほぼ同様で、椎間板の老化により、椎間板が潰れてきて神経を圧迫したり、強度が弱くなったため、腰椎が不安定になり、骨がずれてくるとすべり症(下図)という状態になります。治療はほぼ(2)と同じです。

(4)脊椎分離症
発症は運動している思春期のスポーツマンに多く、多くは運動による疲労骨折が原因と考えられています。発症後、すぐにはレントゲンで診断困難です。症状としては、腰をそらすと痛みが増強します。MRIを撮り、診断がつけば、コルセットにて固定して、運動をしばらくの間禁止します。その後、腰痛はほぼ治っても骨折が治らず、数年してからまた腰痛が起きた時には、レントゲンで判る状態になります。一般的には治療は(2)とほぼ同じです。さらに進行すると分離すべり症という状態になります。腰痛が強い場合や足のしびれや痛みが強い場合は手術を選択します。
(5)腰部脊柱管狭窄症この病気は、前は椎間板、側面は椎間関節、後外側は黄色靭帯などが、加齢に伴う変化によって、次第に椎間板が突出したり、椎間関節が変形して大きくなったり、黄色靭帯が肥厚したりして、神経の通っている脊柱管を狭くし、足に行く神経根の出口を圧迫し、下図の如く狭くなった状態です。

他には、脊椎分離症が進行して、すべり症が強くなっても起こります。その圧迫の状態に応じて、症状としては、腰痛や足の痛みやしびれなど坐骨神経痛などはありますが、典型的と言われている症状は、間欠性跛行です。間欠性跛行とは、しばらく(100−500メートル)歩くと足に痛みやしびれが出てきて、長く歩けない状態です。この時、腰を曲げて休んでいると少し症状が改善します。注意が必要なのは、この症状が動脈硬化による閉塞性動脈硬化症でも同じ症状が起こることです。治療は、プロスタグランジンの薬と、元の病気に準じて、痛み止めや物理療法、運動療法、神経ブロックなどを行ないます。痛みが強い場合や歩行距離が非常に短く、生活に困る場合は手術を選択します。
(6) 脊椎・脊髄腫瘍脊髄に発症する腫瘍は少ないですが、腰痛や神経痛が治療していても、改善しなかったり、悪化する様な場合には、MRIを撮って、腫瘍の有無を調べることが必要です。脊椎腫瘍とは、すなわち椎体や椎弓などの骨に腫瘍ができる病気です。脊椎にできる原発性の腫瘍は少なく、多いのは、癌の転移や他の悪性腫瘍の病変です。そのため、診断が大切であり、MRIを撮ったり、必要な時には一部組織を採り、細胞を調べる病理検査を行います。診断がつけば、それぞれの病気に応じて治療を決めます。脊髄腫瘍とは、神経自体からできる腫瘍と、その周辺の組織からできる腫瘍であり、症状は腰痛や坐骨神経痛ですが、頻度は少ないです。
骨粗鬆症は、歳をとれば、だれでもに起こりうる骨の経年劣化で骨がもろくなり、容易に骨折しやすくなり、骨折が起こらなければ、病気とは言い難い状態です。男性より女性に多く、女性ホルモンが減少する更年期以降に増えてきます。70歳以上の女性では約20%以上、80歳以上では約50%以上の女性が骨粗鬆症と診断されると言うデータもあります。
(3)診断方法は?
症状が軽い人では、軽い腰痛や亀背などの姿勢異常がありますが、ほとんど自覚症状がない人が多いです。診断方法は骨密度測定器で、骨密度を測定します。若年層の70%以下が骨粗鬆症と診断されます。70%から80%の人でも、糖尿病などの基礎疾患があったり、喫煙や飲酒などの習慣がある人と過去に骨折の既往のある人で、危険因子が高いと考えられる人は治療を開始します。そのほかに重要なことは、腰椎や股関節のレントゲン像にて、骨量の状態を把握することが重要です。レントゲン所見をしっかりと診ることが、将来起こるかもしれない骨折を予測できるのです。
(4)骨粗鬆症の治療は?
もちろん予防が大切であり、日常生活における食事や散歩や体操などの運動療法が非常に重要です。特に転倒しないためのロコモ体操である片脚立ちは重要と考えています。次に薬物療法が必要になった場合は、自分の重症度を知って治療をすべきと思います。重症度の判定は、もちろん骨密度の数値が主ですが、他に脊椎圧迫骨折やその他の骨折の有無などが重要です。また薬剤を選ぶ際には、その人の生活様式、つまり一人暮らしかどうか、どんな仕事をしているのか、歯の治療を受けているのか、どんな食事をしているのかなどを考慮することも大切です。
(5)治療中のポイントは?
第一にはその治療薬が有効かどうかの判定が重要です。症状の改善や骨代謝マーカー、骨密度の測定、胸椎や腰椎のレントゲン所見などで判定します。その結果に応じて、薬剤を変更したり、追加したりします。そのためには医師がそれぞれの薬剤の効能や有効性、副作用を充分熟知し、処方することが何より重要と考えています。
第二には治療中でも腰背部痛や大腿部痛、顎の痛みなどが出現した時に、迅速に原因を診断し、その治療を行うことです。腰背部痛の場合は、骨がもろくなったために転倒や重いものを持たないで起こってきた脆弱性脊椎圧迫骨折がないかどうかの診断が必要です。大腿部痛や顎の痛みの場合は、骨粗鬆症の薬の副作用が考えられ、迅速で適切な治療が必要です。そのため薬の服用だけでなく、定期的な医師の診断を受けて頂きたいと思います。
以上の様に骨粗鬆症の診断と治療は介護なしに元気に生活するために重要なことです。もちろん散歩や片脚立ちなどの運動やバランスの良い食事は非常に大切です。これらを続けることがもっと重要だと思います。また薬を飲んでいれば大丈夫と思わず、専門医の診察に行き、検査を受けて薬を変えたりすることも大切であることを知っておいて頂けるとありがたいと思います。
メタボリックシンドロームと言う言葉は有名になり、肥満が生活習慣病である高血圧や糖尿病の発症に関係があり、将来脳卒中や心筋梗塞などのリスクを高めるため、食事や運動に注意して、メタボにならないようにしましょうと一般的に認識されていると思います。ロコモティブシンドロームはそれと同様に将来の健康寿命を延ばすために必要であること、またロコモになっている人には、どうすれば良いのかをお話したいと思います。 ロコモティブシンドロームとは、人間が立つ、歩く、作業すると言った運動のために必要な骨・関節・筋肉・神経などの運動器の障害により、移動機能が低下した状態がロコモです。ロコモが進行すると、身の回りのことができなくなり、介護が必要になってきます。メタボの時に、腹囲を測るように、今回ロコチェクして自分がロコモかどうか、またロコモであるなら、1から3度までのどれに当てはまるのかを判定し、その対処を行い、できる限り、介護の要らない快適な生活を送るようにしましょう。ロコチェク(A)、ロコモ度の判定に必要なロコモ度テスト(B)の御紹介と、ロコモを改善する運動であるロコトレ、食事療法も簡単に紹介させて頂きます。
(A)ロコチェックは7つあります。(図1)(1)片足で立って靴下がはけない
(2)家の中でつまずいたり、すべったりする
(3)階段を上がるのに手すりが必要である
(4)家のやや重い仕事(掃除機を使ったり、布団の上げ下ろしなど)が困難である
(5)2Kg程度の買い物(牛乳パック2本)をして持ち帰るのが困難である
(6)15分続けて歩けない
(7)横断歩道を青信号で渡りきれない

以上の7項目であり、1つでもできないとロコモになります。中でも一番難しいのは(1)片足で立って靴下をはく、と思います。この作業には下肢の筋力やバランス感覚だけでなく、股関節や腰の良好な屈曲、手指の器用さが求められているからです。片足で立てない人はもちろん、股関節や腰が痛くて股関節や腰が曲がらない人は、そもそも足に手が届かないかと思います。また慢性関節リウマチなどで手指が痛くて、靴下をはけない人もロコモに該当します。(4)では腰部脊柱管狭窄症で歩くと足にしびれや痛みが生じて、休まないと歩けない人や、変形性膝関節症や変形性股関節症で階段昇降が困難な人もロコモに該当します。(6)では骨粗鬆症で脊椎圧迫骨折を起こした人は、姿勢不良や腰痛のため、作業がしにくく、物を持つことが困難です。
次回はロコモ度テストでロコモ1から3のどのグレードか判定しましょう。
では、前編でお伝えしましたようにロコモ度テストでロコモ1から3のどのグレードか判定しましょう。
(B)次にロコモ度テストでロコモ1から3のどのグレードか判定します。テストは3つあります。
(1)立ち上がりテスト(下肢筋力を調べる)(図2) 40cm、 30cm、20cm、10cmの4種類の台を用意し、両脚又は片脚で立ちあがれるかどうかのテストです。

(2)2ステップテスト(図3)
つま先をあわせて両脚で立ち、できる限り大股で2歩歩き、両脚を揃えます。その2歩分の歩幅(距離)を測って身長で割った値が2ステップ値です。

(3)ロコモ25(身体の状態や生活状況を調べる)(表1) これは表1である25の質問に対し、それぞれ0−4点の回答をして頂き、その合計点数を計算します。最初の4問は痛みに対する質問で、痛くないが0点,ひどく痛いが4点になります。次の17問は日常生活に対する質問で、服を着たりズボンをはいたり、お風呂で身体を洗ったり、電車やバスに乗れますか、ジョギングやダンスなどのスポーツができますか、どの程度の距離が歩けますか、家での仕事ができますか、などで、困難でないが0点、ひどく困難が4点になります。残り2問は社会生活に対する質問で、友人などとのお付き合いや、いろいろな行事を控えていないかで、控えていないが0点、まったく控えているが4点になります。最後の2問は動作に対する不安の有無で、不安がないが0点、ひどく不安が4点になります。詳細は整形外科医に訊いて下さい。
以上合計100点で自分は何点かでロコモ度をチェックします。

(表1)
#ロコモ度1:移動機能の低下が始まっている状態
1;立ち上がりテストでどちらか一方の足で40cmの台から立ち上がれないが、両脚では20cmの台から立ち上がれる。
2;2ステップテストで、1.1以上1.3未満。
3;ロコモ25でそれぞれの項目の点数が7点以上16点未満の人。
1から3のうち一つでも該当すればロコモ度1と判定されます。これらの人は筋力やバランス力が落ちてきているので、ロコトレなどの運動を習慣つ“けることが大切です。また充分な蛋白質とカルシウムなどを含んだバランスの良い食事を心がけるといいです。
#ロコモ度2:移動機能の低下が進行している状態
1;立ち上がりテストで両脚で20cmの台から立ち上がれないが、30cmの台からは立ち上がれる。
2;2ステップテストで、0.9以上1.1未満。
3;ロコモ25でそれぞれの項目の点数が16点以上24点未満の人。
1から3のうちひとつでも該当すればロコモ度2と判定されます。これらの人は自立した生活ができなくなるリスクが高くなっています。特に痛みを伴う場合は、何らかの運動器疾患を発症している可能性がありますので、整形外科専門医の受診をお勧めします。運動器疾患が診つかれば、その治療を行うことにより、ロコモ状態が改善します。
#ロコモ度3:移動機能の低下が進行し、社会参加に支障をきたしている状態
1;立ち上がりテストで両脚で30cmの台から立ちあがれない。
2;2ステップテストで0.9未満。
3;ロコモ25でそれぞれの項目の点数が24点以上の人。
1から3のひとつでも該当すればロコモ度3と判定されます。自立した生活ができなくなるリスクが非常に高くなっています。運動器疾患の治療の必要があり、整形外科専門医の 診察をお勧めします。

ロコモ度の改善に必要な運動(ロコトレ)は2つで、片脚立ちとスクワットです。片脚立ち(図4)は転倒しないように、必ずつかまるものがある場所で、姿勢をまっすぐにして立ちます。支えが必要な人は、十分注意して机に手や指先をついて行います。左右とも1分間で1セット、1日3セットを行いましょう。スクワット(図5)はお尻を後ろに引くように2−3秒かけてゆっくりと膝を曲げ、少しその姿勢を保ち、ゆっくり元に戻ります。できない場合は、椅子に腰かけ、机に手をついて立ち上がりの動作をゆっくり繰り返します。スクワットは、5−6回を1セットとし、1日3セットします。 他にロコトレにプラスする運動は2つ、ヒールレイズとフロントランジがあります。

(1) ヒールレイズ(図6):ふくらはぎの筋力アップであり、 両脚で立った状態でかがとを3cmくらい上げて、ゆっくりと下ろします。これを10−20回を1セットとし、1日2−3セット行います。不安定な人は椅子の背もたれなどに手をついて行いましょう。

(2) フロントランジ(図7):下肢の柔軟性、バランス能力、筋力アップです。
腰に両手をついて両脚で立ち、脚をゆっくり大きく前に踏み出します。太ももが水平になるくらいに腰を深く下げた後に、身体をあげて、踏み出した脚を元に戻します。この動作を左右5−10回を1セットとし、1日2−3セット行います。この時胸を張って良い姿勢を 保つようにします。大きく踏み出し過ぎて、バランスを崩さないように気をつけます。特に高齢者はバランスを崩す危険があるので充分注意が必要です。
以上ロコモティブシンドロームについて簡単に、説明しましたが、自分がどの程度のロコモなのか、どうすれば改善するのか、また必要な運動や治療は何なのかを知って頂いて、 健康寿命を延ばし、毎日が健康でより楽しく過ごして頂ける事を願っています。